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1.過剰在庫は黒字でも資金繰りを悪化させる
在庫もまた、資金繰りに影響を与えるひとつの要素です。
過剰在庫を抱えていると、黒字でも資金繰りが苦しくなる原因となります。
次の例題を使って説明して見たいと思います。
A社はある商品を650円で仕入、1,000円で販売していますが
当期は10,000個販売することができました。
この時、商品の期首在庫は1,000個、当期の仕入数は15,000個ありました。
販売数は10,000個ですから
期首在庫数+仕入数−販売数により、期末の在庫は6,000個となります。
この状況を、損益計算書とキャッシュフロー計算書の両方から見てみます。
なお、説明を簡略にするため
取引はすべて現金決済で、その他の条件は無視することにします。
損益計算書では
売上高は、1,000円×10,000個=1000万円
仕入高は、650円×10,000個=650万円
粗利益は、350万円で
他費用が、250万円とするならば
粗利益から費用の250万円引いた残りの100万円が利益となります。
経常利益率10%ですから、まずまずの経営内容と言えるのでしょうか?
キャッシュフロー計算書では
売上代金が、1000万円ありましが
仕入数量が、15,000個あり、
仕入代金の支払いは650円×15,000個=975万円となります。
費用の支払額は250万円ですから、
売上代金回収−仕入代金支払−費用の支払
=1000万円−975万円−250万円=−250万円
現金(キャッシュ)は225万円の持ち出しになってしまいました。
A社の当期決算は黒字にはなりましたが、
過剰在庫を抱えてしまったために、手元にある現金が減少してしまったのです。
もし、販売数と同数の仕入数であれば、利益と同額のキャッシュが生まれた訳です。
次年度は、在庫管理を徹底すれば仕入数は相当に少なくなりますので
今度は、利益以上にキャッシュが増加するはずですから、資金繰りは改善します。
しかし、仕入れた商品がもう販売できなくなってしまったらどうしますか。
6,000個分の390万円が不良在庫となってしまいます。
この、不良在庫を償却すれば、
利益が390万円少なくなってしまうばかりでなく
そのお金が全く無駄に使われてしまったことになり
その危険性をはらんだ経営は、決して良い経営とは言えません。
ですから、企業は資金繰りと限られた資金を効果的に使うために
・在庫の適正化
・在庫リスクの低減
の工夫と努力が必要になるのです。
今回は商品を仕入れて販売する場合で説明しましたが
製造業でも全く同じことが言えます。
材料や包装資材が過剰在庫になっていれば、その分資金が眠ってしまうことなり
在庫の性質によっては、劣化により利用できなくなってくるものあります。
やはり、在庫管理を徹底して自社の適正在庫を守ることが必要となります。
在庫管理するだけで資金繰りが楽になり、死に金を生まずに済むことになるのです。
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