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1.必要利益の定義
企業は、資金繰りに行き詰ることで、最悪倒産(黒時倒産含む)もあり得ます。
それではなぜ、資金繰りが苦しくなるのでしょうか?
答えは、必要利益を獲得できていないからです。
必要利益とは、
これ以上の利益がないと、資金繰りが苦しくなる利益のことです。
損益計算書をご覧になれば分かりますが、法人税等と言う科目があります。
法人税等は、税引前当期純利益の下に書かれています。
つまり、法人税等は利益の中から支払われることになります。
また、借入金返済額は損益計算書の科目にありません。
返済額もまた、利益の中から支払われます。
減価償却費は、損金処理されていますが、現金の流出を伴わない費用なので
法人税等・返済額と反対に資金繰り上プラスに作用します。
これを公式で表すと
【必要利益>借入金返済額+納税額−減価償却費】
と言うことになります。
概略の必要利益は
必要利益=(借入金返済額−減価償却費)÷(1−法人税率)
で求めることができます。
ただし、中小企業の場合、
所得金額が800万円以下(軽減税率適用)と、800万円超で税率が変わりますし、
また、県民税や事業税などもありますので
この公式は、あくまでも概略の必要利益となります。
なお、平成24年4月から3年間の特例措置で
軽減税率が15%、本則税率が19%となっており
同時に、復興特別法人税として、法人税の10%が上乗せされます。
いずれにしても、
必要利益とは、借入金返済額と、税金を支払うために必要最低限の利益のことなのです。
また、必要利益を獲得し続けることで
内部留保を厚くすることができ、自己資本比率が向上します。
このことで、財務体質が強化され、自社を健全経営へと導くことができます。
なお、参考までに法人税等とは
法人税・法人県民税・法人市民税・法人事業税のことです。
2.必要利益を獲得するための必要売上高を求める
自社の必要利益が明らかになったのですから
必要利益を獲得できる予算を作成しなければなりません。
予算は、変動損益計算書により作成することが、最も望ましいと思います。
さて、必要売上高を求める公式ですが
必要売上高=(固定費+必要利益)÷限界利益率
と言うことになります。
したがって、必要利益が決まれば
固定費と限界利益率をコントロールすることで、必要売上高が決定されます。
なお損益分岐点売上高は
損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率
で求められます。
こうして、「毎期、必要利益を獲得できる予算を作成する」ことで
資金繰りが安定し、自己資本が増加する経営を成長経営と言うのでしょう。
限界利益と必要利益を求めるためには、損益計算書から
自動的に変動損益計算書が作成される予算作成プログラム【ここをクリック】が便利です。
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